トプコン35-Lを使ってから東京光学のレンズの素晴らしさに気がついた。堅すぎないけど合焦点は綿密な描写する。
いつものカメラ屋さんに赴くとズミクロンとズミタールの間に本レンズが並べられていた。なにやら見かけないレンズだなぁと思って見ていると「やっぱりそのレンズ気になった?」と嬉しそうにショーケースから取り出し手渡された。
手に取った瞬間にビビッときた。ずっしりとした重さ、真鍮のひんやりとした質感、するする動く絞りリング、スカッとした光学・・・。もう一目惚れだ。
「あ、これ買う」値段も聞かず即決に近かった。
このお店は相変わらずプライスがないので店主と交渉しなきゃならないが、ずいぶんと良心的な値段だった。この時はトプコールの相場も一切知らなかったけどそれでもわかるぐらい安い。いったいいくらで買い取ったのか気になるほど。もしくはほとんど利益を載せていない?
外観
本レンズはもともとレオタックスカメラに供給されたレンズだ。レオタックスといえばニッカカメラと並び高品質な国産コピーライカとして名を馳せていた。輸出も好調だったと店主の談。
コピーライカに供給された関係で本レンズはLマウントを採用している。フロントキャップも当然レオタックス名になっている。
トプコールの標準ハイスピードレンズはいくつかのバリエーションがあり、一番明るいのだとF1.5があるようだけど、実物は見たことがない。
本レンズはF2と控えめになっているが、当時だと十分ハイスピードレンズだ。変に明るすぎても破綻した描写になったら意味がない。それでいくとF2というのがちょうどいいのかもしれない。
また50mm F2も複数のバリエーションがあって、TOPCON CLUBを参考にさせてもらうと
初代「Topcor 5cm F2」白鏡胴
初期型「Topcor-S 5cm F2」白鏡胴
中期型「Topcor-S 5cm F2」白黒鏡胴(パンダ) ←本レンズ
後期型「Topcor-S 5cm F2」黒鏡胴
とのこと。
初代のSが付かないモデルはトプコン35に搭載されたレンズと同じで空気レンズ構成になっているみたい。
世間一般的な評価ではこの中期型が一番よく写ると評判だ。
外観についてはそこまで使われてこなかったのか、とてもキレイに思える。製品の造りが良いからこの状態を保ってるともいえる。
絞りはF2~F16まで。おもしろいのが絞り目盛が1/3段毎になっていること。非常に細やかな露出の調整が可能になる。本個体は絞りがするする動くので、これを動かしているだけでも楽しい。
無限遠ではロックがかかる。ライカのエルマーとかと同じだ。
光学
光学はスレ・キズ・クモリなく非常にスカッとしていて気持ちいい。
写真ではわかりづらいけど、このレンズは絞り開放でも完全に開ききらないのが特徴だ。光学的にはF1.8とかありそうだけど、絞りで意図的にF2に抑えているようだ。
当時の製造品質の歩留りが悪かったのか、それとも明るいレンズを発売するつもりが急遽転換したのかわからないけど、いずれにしてもおもしろい。
最小まで絞ると真円に近くなる。
フィルター径はΦ40.5。ミノルタとかと一緒だ。
作例
路駐。
この質感スゴくない?壁の綿密さと自転車の金属感がひしひしと伝わってくる。
赤信号。
前ボケ。手前が合成のように感じるくらいピントの合っている部分の解像感たるや。左上の薄型信号機がハリボテのようだ。
夕日を浴びる。
この立体感好き。光で縁取られている。
構造物。
大阪環状線の高架橋の橋桁だけど、下から見ると不思議な形をしている。
こっそりぴちょん君。
実は誤ってシャッターを切ってしまったコマ。
人々。
ここの風景好きでいつも撮ってしまう。いい写りしてるねぇ。
グランフロント。
空の青さのおかげでビルが際立って見える。
おわりに
やっぱり東京光学のレンズは好きだなぁ。堅すぎず柔らかすぎずのいいところをついていると感じる。それでいて合焦点はシャープだ。筐体の造りの良さも相まって愛でたくなる。
可能ならばコーワみたくもう一度レンズを作ってくれませんかね。お願いします。
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