フィルムカメラをはじめて常に気になっていた存在がある。それがライカだ。
ライカ判と言う言葉もあるほど、現在の35mmフィルムを使用したカメラの歴史はライカの歴史といっても過言で無いと思う。
どのカメラ屋さんにいってもライカは他のカメラとは違うところに並べられている。そして価格も非常に高額であり、フルサイズのミラーレス機と値段が変わらないのは驚きを隠せない。
よくフィルムカメラはイニシャルが安いから手軽に始められるというけど、ことライカに関してはまったく当てはまらない。
ライカはどんどん値上がりしている。レンズは特にその傾向が顕著だが、ボディも負けじと値上がり傾向だ。
ライカの良さはライカを使わないとわからないという人も居るし、実に気になる。
「気になる存在だけど、もう買えなくなってしまうのでは・・・。」
そう考えると自然と気持ちが固まった。
今回ばかりは清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入することになった。
まずはライカを選ぶ
清水の舞台から飛び降りるわけだから、「あ、やっぱり自分に合わないな。やーめた。」となるわけにはいかない。そう何台も買い換えられないのだ。
またやっかいなのはフィルムライカは選択肢が多いこと。
そもそもライカという会社は未だに機械式のフィルムカメラを現行品でラインナップしている会社だ。失敗しない選択するためにも要件を整理しないとならない。
整理するとつぎのとおりになった。
- 機械式であること
- 35mmのフレームが表示されること
- 露出計はあってもなくてもいい
- 安いこと
非常にシンプルだ。
機械式であること
まず大前提として機械式シャッターであることが求められる。機械式でないと修理・整備が容易でないし、修理の度にドイツ本国に送られると考えるとゾッとする。健全に維持していくことを考えると機械式であることが絶対条件だ。
で調べてわかったことが、ライカの機械式カメラは修理を受け付けている修理店が多いこと。もちろん、職人の腕次第なのでどこでもというわけにはいかないと思うけど、選択肢は多いに越したことはない。
となると電子シャッターを搭載しているライカM7は候補から外れる。そもそもM7も2018年まで製造していたことに驚いた。
35mmフレームがあること
個人的に思うのはライカってじっくり構えて撮るカメラではないと思う。どちらかというと広角レンズである程度絞ってパシャパシャ撮るのがライカかなって。何を生意気言ってるんだと言われても仕方ないけど。
そうなると広角のフレームが表示されるカメラとなる。35mmフレームが表示されるのはライカM2とM4、M5、M6だ。28mmフレームになるとM5とM6まで絞られる。
ライカM3が最高のカメラという意見もある。たしかにあのファインダーは素晴らしい。50mm限定で使うなら間違いなくM3になるだろう。ただ広角フレームが表示されないのは残念だ。個体数も多く、程度もまだ選べるが、ライカM3も選択肢から除外した。
露出計はあってもなくてもいい
露出計の有無は便利さと修理のトレードオフだ。
露出計に関してはどちらでもいいと考えている。ネガでの撮影がほとんどな以上、ほぼ勘で撮影しても問題ないことがわかってきたし、ポジで撮るときはスマホの露出計アプリを参考に撮れば大丈夫だ。
とはいえ露出計があれば便利なのは間違いない。その露出計が正確ならばそれに頼る方が失敗写真がなくなる。フィルムも高いし、現像代も高い。だからこそ失敗が減るのは大きな効果だ。
ただ壊れたら修理が大変なのは容易に想像できる。最悪壊れたまま放置かもしれない。ライカという完成度の高いカメラの一部が壊れたままなのも気持ち悪い気がする。
正直うーんという感じ。これでは絞れなかった。
安いこと
「ライカに安さを求めるな」とお怒りの言葉を頂戴しそうだけど、私自身が薄給のサラリーマンだし、無尽蔵に予算が湧き出てくるような裕福な生活ではないから、価格は大事なのである。親が不動産所有でなにもせずとも収入を得られるような人生を送りたかった。
大阪・神戸のカメラ屋さんを回って、現在のボディの相場を調べると下記の表のようになった。
機種 | 価格 |
---|---|
Leica M2 | 10万~15万 |
Leica M4 | 15万~20万 |
Leica M5 | 6万~10万 |
Leica M6 | 20万~30万 |
価格面でいくとすぐにライカM6が候補から外れることになった。M6だけは10万円台のものがなかった。ちょっとこれは高すぎる気がする。
この価格帯だとデジタルライカの中古が入ってくる。いつ壊れるかは別として、同じ価格だったらデジタルライカを買ってしまった方がランニングコストを考えると安くなるんじゃない?というぐらい高い気がした。
逆にこの中でぶっちぎりに安いのはライカM5だ。ファインダーは28mmまで出るし、露出計までついている。基本性能は十二分だ。しかも製造台数は少なく稀少だし、あのスタイルはM5だけの唯一無二な特徴だから、変な話まだ価値の上がり代はあると思う。
ただデカい。当時の広告にあるように大ライカだ。ボディが大きいから撮影するとき安定するって意見を見かけてなるほどって思ったけど、ただ、いわゆるM型ライカとは違う気がする。
ライカM5も候補から外れた。
M2かM4か
最終この2機種まで絞ることが出来た。
ライカM2はM3の時代の製品だから、50年代のライツの品質を味わえる。
ライカM4は巻き戻しがクランクで速いし、フィルムカウンターは自動でリセットされて便利。実用本位だ。
普通に考えれば新しい方が壊れにくいだろうからM4なんだろうけど、M2の良さも捨てがたい。うーんという感じ。
それはお店での偶然の出会い
いろんなカメラ屋さんを回っていると、あるお店でライカM4が10万円前半で並んでいるのに気がついた。
外観は美品というわけではないが、並品まではいかないぐらい。コレクション用で買うわけでないから十分だ。
気になって店主に聞くと、委託品でスローシャッターに粘りがあり、巻き上げもスムーズでないとのこと。
ショーケースから出してもらうと確かにスローに粘りが感じられた。また巻き上げもスムーズでない。フィルムを入れてない状態でこれならば、撮影時はかなり重たいだろう。
店主からは買うならオーバーホール必須と言われる。こちらのお店は店主が修理も行う。自ら修理して販売するんだから責任が大きい。
またオーバーホール後は保証が1年間つく。これだけ高価なカメラでも保証が初期不良のみとか呆れたカメラ屋も散見される中、この対応は非常に好感が持てるし、それだけ自信があるのだろう。
修理は信頼できる職人でないと思っているし、ここはひとつオーバーホール込みでお願いすることにした。
清水の舞台から飛び降りる瞬間は案外あっという間であった。
これが人生で初めてM型ライカを購入した瞬間だ。
ちなみにオーバーホールしても金額的には相場ぐらい。もしくは安いぐらいだ。そして1年間の保証もついてくる。
いい買い物ができたんじゃないか。
オーバーホール完了
2ヶ月ほど経った頃、オーバーホールが完了したと連絡を受けた。
いざお店に赴くと、店主より仕上がったカメラを渡された。
まずファインダーを覗くと世界が違った。オーバーホール前でも十分キレイと思っていたけど、それより1段、いや2段ほど透明度が増し、さらにコントラストも向上している。これはスゴい。
ファインダーの良さでモチベーションが変わるし、感動ものだ。
当然のごとくシャッターの粘りはなくなっている。シャッター音も「チャッ」という小気味よい小さな音が鳴る。
巻き上げもスムーズになった。
これからこのカメラとともにするのかと思うと高揚感に包まれた。
外観
カメラ本体を見ていこう。
M3が少し無骨な印象を受けるのに比べM4は端整な顔立ちだ。イケメンであってしかも堂々たる佇まいをしている。
よく似ているM2に比べても巻き戻しクランクが髪飾りのようなアクセントを担っており、優しさを感じることが出来る。
背面からだとスレ・キズが目立つ。
グッタペルカはキレイだと思うけど、裏蓋は後塗された感じがある。
エルンスト・ライツの刻印がたまらない。
この個体は123万台、1969年製だそうだ。すでに製造から半世紀経っているわけだけど、造りが素晴らしいのか50年の歳月を感じさせない。
M4は巻き上げレバーに指当てがついている。フィルムカウンターは自動復元するから使いやすい。
シャッター速度はB・1~1000まで。必要にして十分。
オーバーホールしただけあって透明感のあるファインダーに仕上がっている。二重像もくっきりだ。
これは撮影が楽しみだ。
まとめ
カメラのボディは写りに影響しない。ただ丁寧に使うようになるから、それが写りに影響すると思う。
生涯の友になり得るカメラ、これからが楽しみだ。とりあえずフィルムを通さねば。
ライカM4とウルトロン35mmで撮影した。
ストラップ選びも大事。
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