第一光学の蛇腹カメラ「Zenobia R」を購入

フィルムカメラ

この令和の時代に誰がこの四畳半メーカーのカメラを気にするだろうか。

普段は見向きもしないが、某フリマに大変きれいなゼノビアの蛇腹カメラが出品されていた。
ゼノビアというと二眼レフのゼノビアフレックスが思い浮かぶけど蛇腹カメラも作っていたのか。
しかもジャンク品であるが、シャッターが切れると書いてある。

ただ蛇腹カメラのジャンクは厄介だ。
メカ部分は治っても、蛇腹にピンホールでもあれば素人に修理は困難だし、仮にお店に出したらいくら掛かるか皆目見当もつかない。そうなればお手上げだ。

ただ本機は掲載画像でもわかるほど外観がキレイだ。だから蛇腹についても大丈夫であろうと安直に判断。

送料を含めると2,000円後半になり、ジャンク品としては高価な部類になるが、つい購入してしまった。

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届く、実機確認

折りたたんだ状態

スプリングカメラ、いわゆる蛇腹カメラだ。

このジャンルのカメラは、普段は折り畳まれているからコンパクトであり、ブローニーのフィルムを用いるから画質は良く、登山など荷物に制限があるような機会に重宝されたようだ。

軍艦部

さて、本機の状態はというと、外観は出品画像のとおり実物は大変キレイだ。
前のユーザーはさほど使っていなかったのであろうか、まったく60年以上の年月の経過を感じさせない。

革に少し傷みが見受けられるくらいで、目立ったキズもなく、「Zenobia」の文字が輝いている。
これは当たりだ。

レンズシャッター部

レンズはNeo-Hesper 75mm F3.5がついている。このレンズ、「Daiichi Opt」と明記されているとおり、なんと第一光学の自社製のレンズだ。しかも反射光からわかるとおり、しっかりコーティングもされている。技術力がスゴいね。

シャッターはSEIKOSHA-RAPID。B・1~1/500まで利用可能。500まで出ればISO400のフィルムが主流の現在でも十分に使用できる。

シャッターは出品説明のとおり全速快調に動いていた。

レンズは自社製だし、シャッターは贅沢に精工舎だし、いいカメラだと思う。

展開状態

蛇腹を展開させて光を当ててみたが、懸案のピンホールはなさそうな感じだ。一安心。
骨組みの金属パーツも美しいな。

背面。中央に描かれた第一光学のマークが誇らしい

フィルム送りは赤窓式だ。フィルムに書かれている数字を窓に中央に入るように巻き上げる。巻き上げたら赤窓の左にあるレバーをスライドさせて窓に蓋をしよう。

また赤窓の位置からも推察できるとおり、本機はセミ判(645)だ。120フィルム使用で16枚撮影可能。

ファインダーは距離計一体型。レンジファインダーも色がはっきりしており、ピント合わせはやりやすい。

撮影方法

本機はレンジファインダーが連動しないので注意が必要だ。

まず軍艦部のレンジファインダーで、撮影したい対象の二重像を合焦させる。そのときの距離を上記①の部分と一致させる。写真の例だと無限遠に合わせている。

次に②のシャッタースピードを合わせる。写真の例だと1/250。

そして④の絞りをスライドさせて意図する絞りに調整する。写真の例だとF3.5。

最後に③のレバーをスライドさえてシャッターをチャージし、軍艦部のレリーズを押し込むと撮影できる。

撮影したらフィルムを巻き上げとこう。撮影後に巻き上げるようにしておくとシャッターチャンスを逃しにくくなる。

なおこの順番はあくまで参考だけど、シャッターチャージは最後にした方が良いと思う。負担が軽減される。

作例

Zenobia R, FUJIFILM PRO 400H

木漏れ日。見つけるとつい撮ってしまう。

コントラストの高い状況だけどタイル表面の質感がきっちり描写されている。なかなかいい感じ。

Zenobia R, FUJIFILM PRO 400H

ビルの柱が整然と並んでいて通路のようになっている。

たしか無限遠。中央・最奥の人が潰れていない。

Zenobia R, FUJIFILM PRO 400H

これも無限遠。曇りだったからそこまで絞ってないと思うけど、特に破綻している感じはない。

Zenobia R, FUJIFILM PRO 400H

建物の外観。線も潰れている感じはない。

Zenobia R, FUJIFILM PRO 400H

開放で撮ってみた。フォーマットの大きさも相まって良い立体感。

Zenobia R, FUJIFILM PRO 400H

外壁の質感が良い感じ。

Zenobia R, FUJIFILM PRO 400H

ガス灯。やっぱり立体感がいい。

使用フィルム

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まとめ

正直、四畳半メーカーのカメラをなめていた。
まさかこんなに良く写るとは、良い意味で予想を裏切られた。
本機搭載のネオ・ヘスパーが良いレンズなんだろうと思う。

もちろんレンズだけではない。カメラ自身の造りも質実剛健という感じだ。
製造されて60年以上経っているが金属部に傷みはないし、蛇腹も問題ないことから真面目なものづくりをされていたことがわかる。

上記の作例は書類でいっぱいの仕事かばんに入れて撮影したが、蛇腹カメラの特徴をいかんなく発揮してくれて、かばんの空きスペースを圧迫することはなかった。

マイナスポイントは距離計が連動しないこと。
たとえば開放で背景をぼかしたくて極力至近距離で撮影したいときなどは、正確な距離が必要となる。本機のように距離計の数値を読み取ってレンズに手動で設定する場合だとどうしても誤差が生じてしまう。
ある程度絞って被写界深度を深くした状態で撮影したいね。

マイナスポイントもあるけどこの写りは素晴らしいから、本機を見かけたらぜひ購入して撮影して欲しい。手間が掛かるのも愛嬌と思えるかも。

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