Topcon 35-Lを買ってからというもの、生きているファインダーと言われる本機が気になって夜も眠れなくなってしまった。馴染みの中古カメラ店に赴くとちょうど在庫を切らしていたので、フリマアプリで外観がキレイな動作品を購入した。
50mm F1.8か48mm F2か、それが問題だ。
Konica ⅢAには搭載レンズが異なる2つのモデルが展開されている。違いは50mm F1.8か48mm F2かである。どちらもよく写ると評判のヘキサノンレンズ搭載で、50mmは明るい分、口径が少しだけ大きい。48mmはほんの少しだけ広角だ。
この個体には48mmのレンズが搭載されている。レンズ構成はどちらも一緒みたいだから、自分の好みで選んだらいいと思う。
中古カメラ店の店主曰く、人気なのは少し明るい50mm F1.8の方とのこと。
今となってはどちらを選んでも値段は変わらないだろう。
素晴らしいファインダー
覗いた瞬間の感動は図り知れなかった。そこには素通しのガラスしかないように感じられるほど先が見え、世の中の隅から隅まで見通せるのではないかと思うぐらい透き通っている。
思わず感嘆のため息が漏れた。
見やすいだけでない。ビューファインダーは青色に着色されていて、レンジファインダーは黄色で着色されているから、二重像のコントラストがハッキリしていてピント合わせが大変しやすい。
そして当然の如く等倍ファインダーになっている。
生きているファインダーと言われる所以はパララックス補正のためにブライトフレームが動くからという事らしい。それならばトプコン35だって生きているファインダーじゃないかと思うけど、ファインダーの透き通り方が本機の方が1枚どころか2枚ほど上手だ。
比較のトプコン35は少しクモリがあるからそこをさっ引いて考える必要があるけど、それでもこちらの方が上だ。
ところでパララックス補正のあるカメラならほかにもありそうだが、なぜ本機はそう呼ばれているのか。
そもそもこの言葉の出自はどこなのか。もしかしたら小西六がコマーシャルにでも使ったのか?
答えは調べていないからわからないけど、ただ一つ、この素晴らしいファインダーを見れば生きているファインダーと呼ばれても不思議ではないことはわかる。
巻き上げは上から下に2回押し込む
Konica ⅢAを特徴づけてる一つに、巻き上げレバーが挙げられる。
一般的のカメラは軍艦部に巻き上げレバーがあるが、本機は見てのとおりレンズシャッターの隣にある。しかも横にスライドするのではなくて、上から下に押し込む。しかもダブルストロークだ。上から下に2回も押し込む。実におもしろい構造。
ダブルストローク自体はライカM3やトプコン35と同じだけど、この時代はダブルストロークが流行っていたのか?1ショットで2回も動かすとなると摩耗が早くなってその分壊れやすそうに感じるのだけど、なんとも不思議だ。
この個体は動作確認済みのジャンク品として出品されていた。たしかに機能は問題ないが、このレバーが重い。
他の個体はどうかと馴染みの中古カメラ屋さんに後日入荷したものを触らしてもらったら、あっこんなに違うんだというくらい差があった。
ただレバーが軽くても操作性が悪くて苦手かな。
開閉もメカメカしい
裏蓋の開け方にもこだわりがある。
底蓋にあるノブを半回転して「O」の状態で倒すと、そこにあるボタンが押されて裏蓋が開く仕組み。
簡単に開いてしまって、装填されたフィルムが感光するのを防ぐためにこのような仕組みを採用しているのだろう。コストが掛かってるだろうね。
Topcon 35-Lと比較
Konica ⅢAと同時期に販売されていたトプコン(東京光学機械)のTopcon 35-Lと比較すると、本機の方がほんのわずかコンパクトであることがわかる。
メッキの質は本機の方が上かな。
それにしてもどちらもコンパクトカメラの部類だけど、全然コンパクトじゃないね。
作例
ホームのタイル。
強い西日に照らされて質感が潰されそうな場面だけど、しっかり持ちこたえている。
神戸・元町の南京町。
中華街だけあって「赤」の多い風景。いい発色。
大丸神戸店にピントを合わせて。
三宮センター街をスナップ。
アーケード街で暗いから絞りは開いていると思う。
店舗の配色が黒色だから額縁感がある。
電車から明石海峡大橋。
揺れる車内からの撮影なのにトラスが判別できるほど写っている。
夜の自販機。
まとめ
小西六のヘキサノンはよく写るとの評判を目にしたけど、実際に撮ってみてよくわかった。これはよく写る。間違いない。
これらの写真は打合せで元町・三宮に行った際に適当にスナップした写真なんだけど、それらがこんなによく写ってるんだから素性のすばらしいレンズであることがわかる。色のりもバッチリだ。
素晴らしいファインダーに素晴らしいレンズ、写真を撮る喜びを伝えてくれるいいカメラだ。
ただ執筆現在、本機は手元にない。
実は掲載した写真を含んだフィルム1本だけを撮って売ってしまった。理由は巻き上げるのに上から下に押し込む動作がどうも自分には合わなかったこと。なんか撮影テンポが狂う感じを受けてしまったからだ。
本機のファインダーに本機のレンズで巻き上げが通常のレバー式のものがあれば完璧なのに。
2021/5/5 本文加筆修正
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