ズミルックスに匹敵する明るさ。その差、わずか0.1。
概要
ライツで初めてF1.5の明るさを実現したハイスピードレンズである。海外のWebページによれば1949年から1957年まで製造されたようだ。
その後、F1.4の明るさを実現した「ズミルックス」が登場することになる。
このレンズは152万台であり、1957年の最終年に製造されたレンズと言われている。なので個人的には実質ズミルックスと思って使っている。
ちなみにこの「ズマリット」というブランドだけど、フラッグシップとして使われたのはこの時代のみだ。
このレンズ以降、F値が抑えられたレンズに使われていることが多く、最近まで50/2.4や35/2.4がラインナップされていたが、これもいつの間にか終売しており、現在は見られないブランドとなってしまった。
この時代のライツのレンズは全てそうだが、手に取るとずっしり重く、造りの良さを堪能することができる。
外観もなかなかキレイではなかろうか?
距離表示はfeet。できればメートルが助かるが贅沢は言わない。無限遠ロックピンがいいアクセント。
本個体はスクリューマウントだけど、後年にはマウントがL39からM39に変更されたものも登場する。M型ライカでしか使わない方にはおすすめ。
フィルター径は41mm。珍しいサイズになるため純正品を探すものなら骨が折れると思う。幸いケンコートキナーから受注生産という形で発売されているので、こういうのも活用していきたい。
絞り羽根
この当時のレンズからすると大口径であるから、開放にするとすごい吸い込まれそうな迫力がある。
この絞り羽根の美しさに思わずうっとりしてしまう。一体何枚あるんだ?という感じ。
こんな小さな穴で映るのが不思議だ。
カメラに装着
バルナックライカに装着するとこんな感じ。ライカDⅢだと、レンズが重いからかおじきをしてしまう。Ⅲgだとバランスいいかも。
M型ライカに装着するとこんな感じ。結構しっくりくるね。
フード「XOONS」
ズマリット用フードはXOONSと呼ばれるもの。ちょっと読み方がわからない。
レンズを購入した後日、たまたま入荷したものを連絡いただき購入した。珍しく箱付き。
いざ、ご対面。
結晶塗装が美しいフードだ。「ズマリット」の刻印がなんとも誇らしい。
ちなみにこのフード、結構高いので覚悟が必要。
フードを付けるとこんな感じ。引き締まるね。
作例
オールドレンズの代表格と持て囃され、あえて逆光にしてゴーストやフレアを出したり、開放で撮って背景をグルグルにしてみたりする作例が多すぎるけど、普通に使う分には大変よく写る。
世間一般にクセが強いと言われるのはこういう撮り方が多いのも一つの要因ではないだろうか。
時代が時代だけに開放付近はどうしても甘い描写になるが、それをメリットと捉えてポートレートに使うと楽しいと思う。もちろん、その明るさを活かして夜間撮影に使うのもよし。
基本的には柔らかい写りをするレンズだと思うので、記憶の片隅にある「思い出の1ページ」的な写真を撮るにはもってこいだ。
あと、当然だけど絞れば普通に写る。スナップに使うには少々重い感じがあるが、M型ライカで使うと安定感もあり結構楽しい。
明るいレンズということもあって意地悪をしなければ万能に使えるいいレンズだと思う。
執筆現在の相場は10万円台前半くらい。絞りが0.1明るいズミルックスの値段を考えればお求めやすいので、状態のいい個体と巡り会えたらぜひ手に取ってもらいたい。
おすすめフィルム
コメント