ライカの広角レンズといえば「ズミクロン」や「ズミルックス」が有名だけど、これらに比べ明るさを抑えた「ズマロン」もなかなかいい。というより、使うと「ズマロンで十分」と思えてくる。
概要
ズマロンは1949年から発売された。35mmの焦点距離で明るさはF3.5、至って標準的な性能である。後にM型ライカでネイティブに使えるM39マウントでも発売された。
その後さらに改良され、晩年はF2.8と少し明るいものとなった。
明るさの違いはわずかであるが、金額の差はかなりある。F3.5のモデルなら執筆時点で6万円から8万円ぐらいなんだけど、F2.8のズマロンは10万円後半から20万円を超えるものもある。いやぁ、恐ろしい。
本個体は117万台で1954年製。参照した海外のWebページによれば、Mマウントで造られた最初の方のロットになるようだ。
少し上から見るとこんな具合でコンパクトだ。ただ手に持つとズッシリとした重さを感じる。決して重すぎるのではなく、「あぁ良い造りだ」と思わせてくれる重さ。
50年代のライツの製品はどれも造りの良さがたまらないね。
絞りはF3.5〜F22まで。距離計連動があるから最短は1m。
絞り羽根
絞り開放
絞り最小
カメラに装着
ライカM4と組み合わせるとこんな感じ。
先端に向かってくびれながら細くなる感じが、なかなかお似合いだと思う。
フード「IROOA」
オールドレンズはフードが命である。少し大袈裟か・・・
ズマロンにはIROOAが適合する。フードにも35/3.5って記載があるよね。IROOAはズミクロンにも使えるので一つあれば便利なフード。
フードをつけるとさらに引き締まるね
作例
35mmの広角レンズなのでスナップには大変使いやすい。開放もF3.5と暗めだからホヤホヤな写りにならず普通に使える。しかもなんというかいい雰囲気で写してくれるのよね。ただ撮ってるだけなのにまるで自分が上手くなったように思えるほど。
あと絞ればめっちゃよく写る。ビルの写真や駅のホーム柵の写真のようにしっかり解像するから、真夏の炎天下で青い空をバックに緑が映える風景をポジで撮ったら最高じゃないかな。
35mmといえばどうしてもズミクロンが挙がりがちだけど、日常スナップがメインの自分にとってはこのレンズで十分に感じる。
悪い部分もある。このサンハンズマロンもF2.8のズマロンもクモリやすいレンズとして有名だ。
クモリを取ってもしばらくしたらクモリが出てくるからメンテナンスが大変。あるカメラ屋曰くクモリが出ない個体はライツでガラスの交換が行われと言っていたり。
この個体はカメラ屋がガラス研磨に出したものを購入したのでいまだにクモリは出ていないが、今後どうなるかは少し不安である。
それでもライカM4に似合うスタイルとこの手軽な写りを考えるばいいレンズだなぁと思う。
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