コンパクトなカメラっていいよね。どんどん持ち出したくなる。フィルムもどんどん消費してしまうから財布がピンチ。
外観
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ドイツ「Kodak」のレチナシリーズのひとつであるⅡaだ。見た目はクラシックカメラ然とした折りたたみ式の蛇腹カメラである。
レチナといえば「ⅢC」がチヤホヤされるけど、本機のこのまとまったスタイルを見て欲しい。実に良いと思わないかい?
アイレットがついてるから速写ケースがなくても安心して使える。
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背面はデカデカと「Kodak Retina Camera」。
普通はここまで自己主張が激しいと、うっとうしさを感じるはずだけど、本機は意外にもそう感じさせないもんだから不思議だ。
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軍艦部にもRetinaのロゴが。でもね、またこれがオシャレなんだよな。
巻き上げレバーを軍艦部にもってきたのはこのⅡaからだそうで、なんと世界初。
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フィルムカウンターは減算式。
おもしろいのは残り1になると巻き上げがストップする機構が備わっていること。フィルムメーカだからムリに巻き上げてフィルムがちぎれるのを防いでいるのだと思う。
1になったらシャッターレリーズの下にあるボタンを押しながらフィルムカウンターをまわそう。また36にすることができる。
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レンズは名門ドイツ・シュナイダーのクセノン 50mm F2が搭載されている。コンパクトだけど性能は妥協していないところがいい。個体によってはヘリゴン 50mm F2が搭載されているものもあるみたい。
本個体のレンズはスカッと抜けている。きっと丁寧に使われてきたんだね。
シュナイダーはレンズのシリアルナンバーから製造年がわかるみたいで、調べると本機は1951年から1952年に製造された個体であることが想像できる。
絞りはF2~F16。
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シャッターはシンクロコンパーが搭載されている。
B・1~1/500まで切れるから、ISO400が主流になってきている現代でも十分使用できる。
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このメカメカしさがたまらないよね。
ヘリコイドを繰り出した状態だと収納できない機構になっているので、折りたためないときはムリに動かすのではなく、冷静に距離指標を確認しよう。
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本個体のファインダーはクモリがあってわかりずらい。絞って撮るか、レンズの距離指標を確認しながらでないと難しい。
大きさ比較
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本機がどれほどコンパクトなのか比較してみた。
トプコン35-Lとの比較では、いかに本機がコンパクトがよくわかる。
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折りたたんだ状態だったら無敵じゃないかな。ホントにいいサイズ感。
作例
撮影テストでいつもの神戸市内を歩いてみた。
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元町・中華街。
え?めっちゃよく写ってない?正直ビックリした。デジタル機と言われてもわかんないくらい。今から70年前のカメラだよ?
線は非常にシャープだけど、柔らかさというか滑らかさを持ち合わせている。
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支線。
これもよく写っているなぁ。快晴だったし、絞ってたことも影響あると思うけど、それにしてもスゴい。
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なにかの台座?
開放で撮影。ボケは案外控えめ。開放でこんだけ写れば十分でしょ。
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ごみ箱。
これも地下街で開放。質感の表現がすごい。周辺減光も合わさってドラマチックだ。
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水たまり。
さすがに四隅は流れているけど、合焦点は実にシャープだ。
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骨組み。
これもよく写っているなぁ。線がシャープだから幾何学的なものを撮ると映えると思う。
まとめ
実を言うとレチナⅡaとⅡcのどちらを買うかで最後まで悩んでいた。馴染みのカメラ屋で値段も同じ。
ただF2の明るさと、巻き上げレバーが軍艦部にある便利さは計り知れないと思ってⅡaにした経緯がある。今回、実際に使ってみてⅡaを買って正解だった。
あとこれは街撮りカメラだと感じた。なんたってコンパクトで持ち運びしやすいし、レンズはF2と明るいから屋内・屋外問わずいろんな場面で撮影が楽しめる。そして合焦点は非常にシャープだし、開放でも十分実用になる。
Ⅱaには露出計はない。街撮りだったら快晴はF16、曇天ならF5.6とかF8みたいに気張らずに撮れば良い。露出がダメでもラボオペがなんとかしてくれる。
気楽に使えるクラシックカメラ、いいじゃないか。
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