それはデジタル一眼の売却から
2020年初旬。
コロナが世界を席巻しだしたものの、国内ではまだ対岸の火事と思っていた頃。所持品を整理しようと考え、使用頻度が高くないものはないかなと思いついたのが、デジタル一眼であった。
この時はNikon D7200を使っていた。アウトレットモールのなかにあったニコンダイレクトショップで買った物である。
写真自体は旅先での記録用であり、なにも知識があるわけではないので、ほぼオートで撮影していた。
私のようなど素人でもキレイに撮れる優秀なカメラであり、キットレンズをほぼメインで使っていたが、自分が望む写真がオートで撮れていたので不満はなかった。唯一重いのを除けば。
今考えるともったいないことをしていたと思う。
その重さが自然と整理対象になり、気がつくとヤフオクで売り飛ばしていた。おなじく整理対象になったPS4も併せて、ちょうど巣篭もり需要が旺盛だったことから併せていい値段で売れた。
ただデジタル一眼を売り飛ばしてから、急に考えるようになった。
趣味としてのカメラはどうかと。
普通に撮る分ではiPhoneで素晴らしく撮れる。いつも携帯しているものだからシャッターチャンスを逃すことはない。けれど自身の変にこだわりが強い性分が邪魔をする。
そして悪魔にささやかれた。
「だったらフィルムカメラではないか。」
10年ぶりのカメラ屋さんへ行く
思い立ったが吉日なので、商店街にある昔からのカメラ屋さんを訪れた。
往時に写ルンですを現像に出しにきた以来だから、軽く10年は超えているだろうか。
ここの店は軒先にも溢れんばかりカメラが置かれていて、一番奥に店主が鎮座している。
これからまったく知識の無い商品を買おうとしているからか、店に入っても両脇に積み上がっているカメラすべてがこちらを監視しているように感じられた。
「怯んでしまっては闘いに負けてしまう。」その強い一心で、最奥に向かった。
店主に
「フィルムカメラを始めたい。ファインダーが明るいのがいい。」と伝えた。
察しのいい方であればおわかりだろうか、私はいわゆるコミュ障の部類だ。
「それは一眼かコンパクトか?」
予想だにしない返答であった。
確かにそうだ。形なんぞ山ほどある。頭の中には一眼しかなく真っ白になりながらも平静を取り繕い「一眼」と答えた。
「予算は?」
予算は決めていた。最初だからあれやこれやと初期投資が掛かるのは目に見えている。
「1.5万円で。」
すると店主はおもむろに立ち上がり、ショーケースを開けだした。
「ファインダーが明るいとなるとニコンかミノルタやなぁ。」
そう言いながら私にあるカメラを手渡した。
これがMINOLTA X-700である。
MINOLTA X-700と出会う
見た目は実に安っぽいし、持った感じはザ・プラスチックである。予算を考えれば仕方ない。
しかし、ファインダー覗いた瞬間ハッとした。
実に明るいのである。世界がとろけるように見えるのである。
ハッシュタグでファインダーから見る世界だのといったものがあるが、これはこういうことなのかと初めて理解した。
「コレください。」
次のカメラを店主が持ってこようとしていたが、それを見ずにこのカメラを選んだ。
私はこのファインダーに恋をしたのである。
レンズは標準の50mmを勧められた。
ロッコールはよく写ると店主から太鼓判を押され、MDの50mm F1.7がセットとなった。今思うとプログラムモードを使うためにMDのレンズを選ばれたのかと思っている。ちなみに一度もPを使ったことがない。
会計を済まし、フィルムの入れ方や操作方法のレクチャーを受けた。こういったサポートが実店舗の強みである。
またこのファインダーがアキュートマットと呼ばれる物で、あのハッセルブラッドにも採用されていること、X-700はフランジバックが短くマウントアダプタを利用するとだいたいのレンズが利用できること等を教えてもらった。
もう外は日が落ちようとしていたのでテスト撮影は翌日に行うこととした。
コメント
Hi Yutomu san,
Please keep going. I think you will love this camera much. I just saw your photo on Instagram. I love it. Let enjoy the film camera by yourself. Might be you will be an addicted filmer in the future.
Cheer!!!
Quan.