ライカといえばエルマーと言われるぐらいポピュラーなレンズだ。
50mmが標準レンズと言われるようになったのは、このエルマーよさに起因していると言われたり。
外観
ライカA型に固定されていたエルマーを交換式に改造したのがショートエルマーである。その名のとおり通常のエルマーに比べ全長が短い。
また固定されていたことからレンズ部にシリアルナンバーの記載が無いのも特徴である。
上記のような差はあるけど、基本的には一般的なエルマーと同じである。ただ雰囲気短いなって感じるぐらい。
鏡胴自身も改造時期によって様々なパターンがあり、この個体は距離指標のほか「R」の赤外線写真用の目盛が刻まれている。
本個体はメートル表記で最短は1mである。
沈胴式なので一部にハゲが目立つ。
無限遠ロックの裏には番号が記載されている。これはピントが来るように調整された時の焦点距離を表している。
本個体の鏡胴番号は「3」。エルマーのなかでも一番焦点距離が短いモデルで48.6mmになる。つまり50mmと書かれていながら実際には50mmではないということ。
50mmって狭く感じるから、これくらいが広角寄りで使いやすいと思う。
本個体の絞り表記は大陸表記。あまり馴染みがない。
フィルター径はΦ19mmとかなり小さめ。
絞ると真円に近くなる。
光学
レンズのホコリやキズは少ない方だけど、ほんの少しクモリが見受けられる。
こればかりは90年以上経ってるから仕方ないね。
時代もあり当然ながらノンコーティングだ。
フロントキャップ
当時モノのフロントキャップがセットになっていた。見かけ以上にズッシリしており塗膜の厚さも十分。
塗装がすれて下地が出てる感じがたまらない。
いい仕事しているなぁ。
裏地と造りの良さから、キャップをはめるときはヌメッとした抵抗でスッとはまる。
ちなみにライカのアクセサリーは高い。これだけでも1万円は軽くするんじゃないかな。
旧エルマー?
エルマーは使用しているガラスの違いで旧エルマーと新エルマーに分かれる。
エルマーは当初、ゴルツ社のガラスを採用してけど、ゴルツ社がツァイスイコンになったことから仕入れができなくなり、ショット社のガラスに変更することになった。旧エルマーと言われるのはこのゴルツ社のガラスを採用している個体になる。
ただ区別が難しい。
特徴としては前面のフォントが小さいことや、前玉を押さえてる部分に溝がないなど、いろいろ言われるけど、結局のところいつ交換可能なエルマーに改造したかによって異なるからなんとも言えない。
ひとつカメラ屋から言われたのは、ゴルツ社のガラスの方が前玉の湾曲ぐあいが大きいとのこと。この基準でいくとこの個体はそこまで湾曲してると感じないから多分違うかな。
作例
あれ?めっちゃスッキリした写りだ。合焦点はシャープじゃない?
意外にも立体感がある。これもスッキリしてるなぁ。
歩きながらの撮影。
なんかエルマーで十分と言う方の気持ちがわかる感じがある。
開放での撮影。
いい感じのボケ感だ。完全に白黒時代のレンズなのに色のりもいい。
この写真の雰囲気が好き。
外壁の質感がめっちゃ表現されている。なかなかの解像感じゃないかな。90年経ってるとは思えない。
さいごに
エルマーに始まりエルマーに終わると言われるほど様々なバリエーションがあって、エルマーだけで沼があると言っても過言ではない。
この個体は90年は経ってるけど、それでもこれだけ写るんだからいい設計していると言える。線もシャープだし時代に合わせて白黒でも撮ってみたいと思わせてくれた。
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